クーポン券の効果について

ばらく堅苦しい面白くないだろうお話が続いたので、
ちょっとはマシかもしれない「クーポン券ついて」のお話をしてみたいと思う。
たびたび題材にさせてもらってるけど、今回もマクドナルドの例をもとに話したい。

クドナルドというと、こないだもハンバーガー無料券なんかを配布してて、
デフレ経済ここに極まりって感じなんだけど、
今回は店頭でナゲット100円!って大々的にやっているやつではなく、
携帯のサイトなんかでコッソリやってるクーポン券の話だ。
あのクーポン券、よく考えてみると変な話である。
マクドナルドとしては、クーポン券の価格で販売しても儲かるから、
携帯サイトでクーポンを配布しているわけだ。
なら、店頭の価格は何なのだろう。
クーポン券のことを知らずに、店頭価格で購入した人たちはバカみたいである。

のようなクーポン券のことを価格差別戦略と呼んだりする。
別に店側は、「クーポン券のことを知らない情弱は、高い値段で買えやぼけ!」
と考えているわけではない。
このクーポン券は、どちらかというと、
「マック高すぎ。100円じゃないと買わない!」
って層を取り込むために提供されている。

世の中には上のような二種類の人がいる。
クーポン券がなくても買ってもいい人達は、携帯でセコセコと探さなくても、
「こんな安い店、俺がみんなの分おごってやらあ!」
と、何も考えずにお店に入っていく。
もしも世の中のすべての人がこんな感じだと、
お店側もわざわざ利益を削るクーポン券を出す必要はない。
ところが、世の中には「もっと安くしろや!」って人たちもいっぱいいるので、
店側はそういう人々を取り込んで、1円でも利益を上げようと頑張っているのである。

ょっと算数の話をさせてもらう。
ある地域に1000人の人々がいるとする。
そのうちの300人はビックマックを300円で食べてもいいと考えている人たちである。
さらにその300人の中で100人は携帯サイトで、クーポン情報を事細かにチェックしている。
「別に300円で食ってもいいけど、安くなるんだったらぜひ安く食べたい」って人が100人ってことだ。
さらに、300人はビックマックを150円なら食べてもいっかなと考えている人たちである。
この人々は、今か今かと安くなるのを待ち望んでいるので、いつも携帯サイトをチェックしている。
残りの400人は150円未満じゃないと食べたくない人たちで、
マクドナルドもこういう人たちにはさすがに原価割れしてしまうので提供できない。
クーポンを提供せずに、一律に300円で販売したら下の表のようになる。

300円で食べてもいいと考えている人たちについては、ビックマックを購入する。
この層から90000円得ることができる。
ところが、150円じゃないと食べたくない節約君たちには売れないので、
そこからは1円の売り上げも得ることができない。
では、次に店頭では300円で販売し、
携帯サイトで150円のクーポンを提供した時を考えてみよう。

300円で売れるはずだった層の100人に、みすみす150円で販売してしまうチャンスロスはあるが、
そのチャンスロスを補って余りあるほどの売上げを得ることができた。
このように、クーポン券には店頭価格で買っていた層の売上げを減らしてしまうかもしれないが、
本来購入させることのできなかった層を取り込み、
その層が大きければ大きいほど売上げを伸ばすことができるのである。
そして、現実世界でもたぶんクーポンによって引き寄せられる層が多い。
だからこそ、マクドナルドは安すぎるようなクーポン券を乱発しているのである。

たようなものに、ユニクロの週末限定価格がある。
ユニクロは地道なマーケティング活動の結果、
平日に来る客層と土日に来る客層が違うことをたぶん発見した。
世間一般では、平日は仕事や学校のある日で、
「ちょっとショッピング行ってくら!」って人は少ない。
じゃあどういう人が来るかっていうと、
忙しい平日でもいいから、とにかく今すぐ服を買いたいって人が来る。
今すぐ服を買いたいって人は、
是が非でも服を手に入れたい人なのでちょっと高くても買ってくれる。
逆に、土日はみんな暇を持て余している。
「ライトオンとGAPとそのついでにユニクロも寄ってくか」って人々がほとんどなはずで、
そういう客層を取り込むためには、多少値段を下げる必要がある。
こうして考えてみると、一見不思議で仕方のない週末割引も、
意外とちゃんとした目的のある戦略ってことが分かってきたりするんですね。